わらべうたの会にいらっしゃいませんか?

 

 ここで紹介している手作りおもちゃは「わらべうたの会」や、保育所(園)、幼稚園、子育て広場、職員研修、園内研修から依頼を受けたところでご披露して評判の良かったものです。

 

 「わらべうたの会」では、わらべうたをどのように使うかということを学び合っています。

 わらべうたをどのように使うかということは、こどもの発達や心理がわかっていなくてはできません。小学校の中学年以上だと、指導案通りに進めることが可能でしょうが、幼い子や発達のゆっくりな子を担当する場合は、準備したことのほかに臨機応変に動けることが必要です。これこそ、わらべうたの柔軟性を生かす場面です。

 その子の発達や臨んでいることを瞬時に見抜いて、ある時は優しく揺すりながら歌い、ある時はふさわしい遊びとともに提供します。変な「間」が空くとそれだけでつまらなくなります。

 タイミングよくぴったり合った歌や遊びをを提供できたとき、嬉しいのはこどもだけではありません。大人にとっては、こどもたちの喜ぶ顔と大人に向ける信頼の眼差し、この仕事をして良かったと思える瞬間です。

 面白おかしいことだけでこどもは大きくなりません。容認ばかりではなく、やめてほしいこと、やむをえないルールーを伝えなければいけない事もあります。そんな時、嬉しいことで結びついた信頼関係が支えになります。

 知識だけでなく、経験も大切です。経験豊かな先輩から話を聞いたり、経験は浅くともフレッシュな目から見た素直な疑問に初心に戻れます。

 

 わらべうたの会では、ただ、わらべうたを覚えるだけでなく、実際に現場で使えるようにすることを目指しています。

 

わらべうたをどう考えるか(わらべうたの会の考え方)

 

 わらべうたは「歌」であり、風土に根付いた構成に語り伝えたい「文化」です。難しく考える事もできますが、そのような学術的なことは専門家に任せて、わらべうたの会ではこどもの育ちを一番に考えることにしています。

 研究家はわらべうたを調査・採集し、掘り下げ書物にします。こども、特に、就学前のこどもの子育てに関わる養育者、保育士、幼稚園教諭などは、こどもの心身の発達を見守り援助します。「今まで笑わなかった子が笑った」「自分で遊びが見つけられる」「好きなおもちゃで集中して遊べる」「人と遊べるようになった」「みんなで遊ぶ時、役に当たらなくても遊びを楽しめた」など、こどもの月例、年齢、情緒、発達段階により関わり方を工夫します。日々の活動の中から、仲間の中で自己主張したり、意見の違う仲間を理解するために必要な経験が積めるよう心を砕きます。

 私のこどもの頃、わらべうたでたくさん遊んでもらいました。少し大きくなったら小さいこどもが遊んでもらうのもたくさん見ました。その記憶を辿ると、歌は同じでも、遊び方は時と場合により変えていました。歌や遊びを正しくというより、こどもの状態が今より良くなるように、励ましたり、なだめたりするのにちょうど調子良く歌を当てはめているように見えました。また、大人も気晴らしを兼ねているようにも見えました。家事の合間に手を止めて、少し歌ったり遊んだりして、また家事の続きをする…といった具合に。保育や幼児教育、子育て広場でも、このようなスタンスで取り組む場面があってもいいのではないでしょうか?

 

 わらべうたは、食べ物に例えると”離乳食”にすることのできる食材のようです。こどもの状態に合わせて、煮たり、つぶしたり、切り刻んだり…幼いこどもには気に入ったところだけ繰り返して歌うと喜びます。幼い子は短い繰り返しを好み、それにより情緒が安定すると発達心理学で習った通りです。幼い子はできる動きが限られています。できる動きの中からこどもなりにぴったりな動きで歌を表現します。遊ぶ経験の少ないこどもも同じです。本に書かれている通り正しく遊ぶことよりも、まず、こどもが歌を受け入れて楽しんでいる様子を喜ぶことが、こどもが社会に踏み出すことを応援することになるのです。楽しく遊べることは”自信”になります。ルールや役割も理解できようになれば、本の通りのわらべうた遊びを楽しめるようになります。

 大人と同じものが食べられるようになって、消化器官がしっかりしたら、スタミナのつくステーキを食べても大丈夫なのと似ています。

 

 わらべうたを学び合っていて、よく耳にすることですが、「『楽譜通りちゃんと歌わないとダメか』と思うと歌えない、遊べない」という声です。

 わらべうたは、古いものは平安時代の書物にも見られます。古くからあるのに消えずに残っていることが良いものであることの証明です。つまらなかったり、役に立たなかったり、単なる流行歌ならばとうの昔に消えていたのではないでしょうか。心配しなくても、よくなければ(間違っていたら)時間が消してくれます。前にも述べたように、わらべうたを研究している専門家もたくさんいて、書籍も多数出版されています。今、わらべうたを楽しんでいるこどもの中にはわらべうたに興味を持って、専門書を読むかもしれません。研究者になるかもしれません。

 こどもはどちらを歓迎するでしょうか?わらべうたを正しく歌う人でしょうか、自分を理解して楽しませてくれる人でしょうか。わらべうたの会では、こどもたちと千年近く生きてきた「わらべうた」の生命力を信じます。